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正しい歴史認識について

投稿日:2013年8月26日 /  記事カテゴリー:コラム

30年ばかり昔、スペインの国策会社に出向したことがある。2年ほど首都のマドリッドのオフィスで勤務した。楽しく貴重な経験で、今も夫婦で語り合っている。
そのマドリッドの中心に「コロン広場」と言うコロンブスを記念した壮麗な場所があり、大きな中央の台座は、彼を記念するモニュメントやレリーフで飾られている。地下は宏大なバス発着場であり交通の要所でもある。バラハス国際空港からのリムジンバスの終着駅となっている。一等地の中心である。いわば首都のへそである。
大抵の日本人はコロンブスはイタリア人だと思っているので、他国人の偉業をかくも丁重に記念するスペイン人の寛容さに感心したりする。
これに関して、職場の同僚と話をしてみると誰一人として、コロンブスがスペイン人であることを疑う人はいない。かえって何を変なことを聞くのだ言う顔をする。
本屋で子供向けスペイン史の絵本を立ち読みしてみると、何の補足説明も無く「スペイン人」と記載してある。
おまけに仕事上でのリーダー格の一人が、M. V, de Colon (コロン)と言う方で、母方がコロンブスの子孫であるとのこと。これは周りの人が言っていたことで、ご本人は知性教養溢れる紳士であり、誰彼と無く家柄を吹聴するような人物ではない。

毎年11月になるとニューヨークでコロンブスデーという祝日が祝われる。この日はイタリア系の人々が総出でパレードを繰り広げ、街中、赤白緑のイタリア国旗で埋め尽くされる。誰もがコロンブスがイタリア人であることを疑ってはいない。
因みにコロンブスは英語読みで、コロンはスペイン語である。イタリア語ではコロンボと言う。そう、あの刑事コロンボである。
これに関し西伊両国間で論争が発生したという話を寡聞にして聞いたことがない。世界史上の偉大な人物を自国民に取り込みたいのは、洋の東西を問わず人間の本性である。
すこし突っ込んで世界史を勉強された方には納得して頂けると思うが、コロンブスの時代には今日の厳密な国民国家が成立していなかったのである。彼はスペイン人であり、イタリア人であるとも言える。現代の規範で過去を論ずるのはナンセンスである。
両国は友好国で国民も互いに好意を持っており、成熟した大人の関係を思わせる。
歴史認識の違いは欧州各国内にも米英間にも存在する。学生のころ世界の高校歴史教科書の翻訳版を読んだことがある。(確か帝国書院?)
あまりの自国本意のご都合主義の記述に呆れてしまった。しかしどの国も相手国に文句を言ったという話は聞いていない。

韓国で新大統領が選出され、日本には「正しい歴史認識」求めて行くとのことである。
これには中国とも共同で対処する方針であるとか。
東アジアでも歴史認識に関する問題は、欧州諸国をお手本に、学術論争の世界に閉じこめ、政治的には相互不干渉として収めるのが大人の智恵ではないだろうか。(以上)

 

副会長 鈴木

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