メンタルヘルス
メンタルヘルスとは、心の健康のことです。 企業では、複雑な人間関係や長時間労働などのストレスにより、メンタルヘルスに不調をきたす人が増えています。精神衛生、精神保健と称され、うつ病などの心の病気(精神疾患)がもたらす様々な問題を考えます。
ケース「営業部に起きた二つの出来事」(#413)のティーチング・ノートです。
料金:3,000円(税別)です。
※ティーチング・ノートは、研修を実施する際に必要なケースの分析や設問例などを記載したものです。作者の意図や狙い・背景なども書かれています。
沖野営業部長の部下の、二人の課長が相次いで問題となる対応をおこした。国内営業グループ長の森下課長は、配下の諸岡が次第に会社を休み勝ちになりになったので、皆の面前でメンタルヘルスの担当医師へ行くよう命じた。診断結果を本人が教えないため、自ら医師に結果を聞きに行ったが、教えてもらえず、職場でノイローゼらしいと話した。
やがて諸岡は、全く出社しなくなり、自宅を尋ねると、妻から強い抗議を受けた。
もう一人の、輸出営業グループ長の佐野課長は、派遣社員の宮本(女性)の対応に問題を残した。軽いとはいえ身障者の子供を抱える宮本の、たびたびの要請(子供の参観日の休暇、残業過多による業務 見直し)をことごとく無視した結果、宮本は疲労で退職を申し出て、出社できなくなった。相次ぐ二人の課長の対応で、沖野営業部長は、今後どうするべきか頭を抱えてしまった。
銀行の総務課員である東条は全社的な業務改善プロジェクトの事務局として多忙な毎日を送っていたが、その貢献が評価されて新設された顧客対応窓口の課長に昇進することになる。しかし無理がたたり「うつ病」を発症させてしまい、休職することになった。会社としては昇格させたことが仇となったと判断し東条を降格処分とすることにした。
工作機械メーカーのベテランサービスマン田口明夫は豊富な知識・経験と実績が抜きん出ている。上司である藤倉リーダーは彼を高く評価してきた。ところが、その田口にいろいろ問題が生じているのである。遅刻や無断欠勤が多くなり、とうとう顧客にも迷惑をかけてしまった。最近藤倉リーダーは田口が同僚に「なかなか最新のテクノロジーについていけない」とこぼしているという噂を耳にした。
現在、子会社で気楽な日々を送っている佐々木監査役は、桜の咲く季節には昔の出来事を思い出して憂鬱な気分になる。あまり接触が無く、存在感を感じなかった若い部下の藤田がある日突然、一方的に暴言を吐いて立ち向かって来たのである。様子を見ると、明らかに精神に異常を来している。その場は何とか治まったものの、佐々木は善後策に悩んだ。人事担当の課長に通告すべきか迷っているうちに、転勤の発令を受け、準備に忙殺されていて忘れてしまった。その後、藤田が退職したという話を聞いた。何があったかは不明。当時の自分の対応を後悔しているが、いかにすべきだったか、妥当な方策はあったのか、この年になっても分からない。