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もしかして、これってケース?(略してこれケー)

投稿日:2013年9月11日 /  記事カテゴリー:ケース

ニュースは、私たちに多くの学びや気づきを提供する、言わば「ケースの宝庫」と言えます。ここではケースナビゲーター(ケースの作成、選定の案内人)が、ケースになりそうな記事をピックアップ、ケースメソッドで考える場合のポイントなどを解説します。
題して「もしかして、これってケース」(略して これケー)をお送りいたします。リアルなケースを使って、みなさんの会社、組織でもケースメソッドを実践してみてはいかがでしょうか。

今回の注目記事!(これケー)

「冷凍庫に入って写真を掲載する人たち」

【ケース(出来事)の概要】
今年7月中旬、コンビニエンスストアのアイスクリーム用の冷凍庫の中に男性が寝そべり、ソーシャルネットワーク(SNS)に掲載したことで「不衛生だ」と騒動になり、コンビニエンスストア側が謝罪、店舗とのフランチャイズ契約を解除したというニュースがありました。
その後も別のコンビニエンスストアで同様のことが起こり、また、飲食店チェーンでも冷凍食品を口にくわえる、パンに寝そべるといった画像のネットへの掲載が連鎖的?に生じ、テレビ、雑誌によって大々的に伝えられたことで、多くの人が、これらが起こった社名、店舗を知ることになりました。
引き起こした当人たちは、退学、損害賠償も検討される事態になり、会社、店舗側は、商品の入れ替え、冷蔵庫の洗浄などに多額の負担を要し、またある店舗では、お客様との信頼回復は困難として店舗閉鎖にまで至りました。洗浄などの即金銭的な損失も然ることながら、信頼失墜によって相当に莫大な売り上げの流出が生じたことになります。
あくまでも仮定ですが、毎日利用するお客様(所謂、固定客)を1店舗で10名失った場合、1人1回あたりの利用額は570円(日本フランチャイズ協会 2011年公表)なので、1店舗当たり年間約210万円の流出が起こり、全国チェーンのコンビニエンスストアの店舗数を1万店舗とすると(店舗数の一番多いコンビニエンスストアで、その数は約1万5千店舗、2位で約1万店舗)、年間210億円の売上げの流出が生じたことになります。
(出来事の概要、発生時期などは、各種報道機関記事を参考、8月20日頃時点の状況に基づく)

【この出来事を「ケースメソッド」で考える】
「ケースメソッド」で考えるとは、単純に言ってしまえば「ケースを見て、問いを起こして考える」ことです。ケースを読み込んだら、次は「問い」を起こして考えることです。この「問い」は、自問自答の場合もあれば、自分以外の、例えば研修のトレーナーやファシリテーター、コーチと言った人が問いかける場合との両方のパターンがあります。何れにしても、このケースについては、社会問題という観点から次のような問いを起こすことで学びや気づきが得られるのではないでしょうか。

問い1.なぜ、このようなことをしたがるのか?
このような「問題」をテーマにしたケースでは、先ずこの出来事の背景を探ることからはじめます。
今回のケースであれば、問い1.のような問い掛けをきっかけに、更に「そもそも、なぜこういう心理になるのか?」「自己顕示・自己表現のありかたとは?」「情報インフラの発達は私たちにどのような影響を与えたか?」「自己顕示や情報インフラの感覚は年代によって異なるものか?」などの議論を深めて行きます。

問い2.同様の事態を再発させないために、社会、企業、学校などはどのような対策が必要か?
問い1.で背景を探ったら、続いての問2.で対策の立案をします。
このケースには多くの関係者が存在しています。「この出来事を引き起こした当人たち」「被害を受けた企業」「学校」「親」「SNS等の提供者」ひいては「社会全般」などです。
このケースを考えるにあたっては、この出来事に直接、間接に関係した人、組織の全てを一旦ディスカッションで洗い出し、そして各組織は今後如何に対策すべきなのかを検討すると良いでしょう。そして、自分自身や自分たちの会社は今後、如何に対策して行くべきかへディスカッションを展開し、自分ごと化された学びや気づきが得られるように話し合いを進めて行きます。
このケースであれば、マネジメントや人材育成、リスクマネジメントなどのあり方、対策が見えてきたら、ケースメソッドによる討議がある程度上手く行ったと言えるでしょう。

それでは、みなさんの職場でも、この「ケース」と「問い」を用いた「ケースメソッド」を早速、試してみてはいかがでしょう。

以上

会員 ケースナビゲーター

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