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ヒューマン・アセスメントの能力診断で人材を類型化

投稿日:2015年11月27日 /  記事カテゴリー:協会情報

ヒューマン・アセスメントの能力診断で人材を類型化

 

日本ケースメソッド協会 会長 古澤 賢

 

人の行動を観察すると、個性はまさに十人十色、千差万別である。しかし、アセスメント研修に永年携って多くの人々を観察し、職務遂行能力という観点から捉えてみると、そこには、いくつかの類似したパターンが存在するのではないかと考えるようになった。

 

そこでそれらを整理して類型化し、プロフィールとしてまとめてみた。言うまでもなくヒューマン・アセスメントの本来の目的は、職務遂行能力(ディメンション)の発揮度合いを評価して管理職の適性を診るという目的がある。また受講者には自己を客観視することにより、マネジメント能力の啓発計画を立案する際の指針を得ると言う狙いもある。

類型化するに当たっては発揮度に応じていくつかのタイプに分類した。また、発揮度としてはS(極めて高い)、A(高い)、B(平均以上)、C(平均)、D(平均よりやや下)、E(平均よりかなり下)の6段階とした。

なお、筆者が行っていた「ヒューマン・アセスメント研修」では、インバスケット演習、グループ討議演習、面接演習、分析・発表演習などを使用している。
◆ S(極めて高い)比率としては全体の5%程度
◎ 複眼的な見解と大局的視点を有し、バランス感覚が高い。自分の考えをしっかり持って与えられた自分の職務を遂行している。インバスケット演習、グループ討議演習、面接演習いずれも高評価を得る場合が多い。
◎ 能動・進取型/・理知・創造型の二つのタイプに分かれる。
〈タイプⅠ 能動・進取型の特徴〉
・ 精悍で明朗・闊達。状況の変化には臨機応変に対応する。
・ 能動的に目標に挑戦し、集団の信頼を集め、リーダーシップを発揮している。
〈タイプⅡ 理知・創造型の特徴〉
・ 沈着・冷静で理性的。優れた先見性と洞察力を有している。
・ 概念化能力や対人能力いずれも高く、創造性に富む。

 

◆ A(高い)比率としては全体の10%程度
◎ インプット・アウトプットの両面に優れている。インバスケット演習は質量ともに高く、グループ討議などにおいてもオピニオンリーダーになることが多い。
◎ 才気・煥発型/・思索・受容型の二つのタイプに分かれる。
〈タイプⅠ 才気・煥発型の特徴〉
・ 才気に溢れ、機敏な行動で当意即妙の判断をする。
・ 負けず嫌いの一本気な面はあるが熱意を持って集団を統制する。
〈タイプⅡ 思索・受容型の特徴〉
・ 良識に富み礼儀正しい。寡黙だが知的で他者への受容性に富む。行動スタイルはバランスがとれ、状況の変化に冷静に対処する。

 

◆ B(平均以上)比率としては全体の15%程度
◎ 演習の成果は得意、不得意はあるものの、ほぼ無難にこなす。ただし、インバスケット演習の成果が低い場合はこのランクの可能性は低い。
◎ 個性・活動型/・重厚・安定型の二つのタイプに分かれる。
〈タイプⅠ 個性・活動型の特徴〉
・ 明朗・快活でエネルギッシュ。
・ 自負心が強いが社交的で課題に積極的に挑戦する。
・ 頭の回転は早く、リーダーとして親しまれる。
〈タイプⅡ 重厚・安定型の特徴〉
・ 温厚・篤実であるが、毅然たる態度を持ち、経験智に支えられた物の見方は的確である。
・ 責任感が強く、行動は慎重で秩序を重んじる。

 

◆ C(平均)比率としては全体の35%程度
◎ それぞれのタイプに応じて演習課題の成果に得意・不得意が出て評価に高低のばらつきがみられる。
◎ チャレンジ型/・堅実型/・協調型の三つのタイプに分かれる。
〈タイプⅠ チャレンジ型の特徴〉
・ 明朗・率直で、自信を持って自己主張する。
・ 負けん気が強いが気さくで活気がある。
・ 逡巡せず即断即決する。
〈タイプⅡ 堅実型の特徴〉
・ 実直で円満、良識に富み経験則に則って実践的に行動する。
・ 信念の人で時に冷厳に見えることもあるが、几帳面で真面目。
〈タイプⅢ 協調型の特徴〉
・ 良識的で温厚かつ友好的・協調的である。
・ 善意に満ち、対人交流はソフトで親近感がある。
・ 話をよく聞き調整役に回る。

 

◆ D(平均よりやや下)比率としては全体の30%程度
◎ B、Cに比べてバランスが一方に偏る。演習課題が押し並べて平均以下の成果に留まる。
◎ 真面目・誠実な努力型/・機敏な開放型の二つのタイプに分かれる。
〈タイプⅠ 真面目・誠実な努力型の特徴〉
・ 控え目、誠実で辛抱強く、経験則に基づく判断をする。
・ 意思決定が慎重で、やや守りの姿勢が強い。
・ 現状肯定・現状維持になりやすい。
〈タイプⅡ 機敏な開放型の特徴〉
・ ファイトに富むが、思考の仕方にバラツキがあり、一人よがりな点が見える。
・ 真剣ではあるが単純で大局観に欠ける。
・ 勘と経験で物事を判断し、もう一歩踏み込んで深く考えることをしない。

 

◆ E(平均よりかなり下)比率としては全体の5%程度
◎ 各種の演習で成果が低い。研修参加時点で既にモチベーションが下がっている人が多い。
◎ グループ討議演習ではほとんど発言せず、とくにインバスケット演習の成果の低さが目立つ。
〈このタイプの特徴〉
・ 律儀で真面目だが自信がなくチャレンジ精神に欠ける。
・ 実直で質朴だが、他者依存で追随的である。
・ 自信のなさや視野の狭さが見られる。
・ 積極的な行動をする場合も問題の捉え方が浅い。

 

このように類型化すること自体に異論はあるとは思う。ただ、この類型を本人が知ることによって客観的自己認知につなげることができれば、それはそれで類型化の意義もあるのではないかと思う。

 

 

 

人材アセスメントの研修のご案内(カリキュラム等)はこちらに掲載しています。

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