「間に合わなかったケース」
あれから8年が過ぎた。丁度、協会がNPO法人として再発足した時期と重なる。
三度の手術を挟み10年近くになる闘病生活の末、抗がん剤治療も副作用ばかりが強く思うような治療効果が出なくなっていた妻と今後の治療方針を決めるべく、主治医の診察を受けていた。
闘病中の妻の生活は残りの人生を楽しく、愉快に、好きな事を思い切り楽しむに集約されていました。正にQOL(クオーリティー・オブ・ライフ)です。そんな訳で治療後にやりたい目標を定めて治療を承諾するのが常でした。その多くは海外旅行であったが、私は妻の意志を助成するためのインセンティブ・プロモーションとしていた。
そんな中、今回は医師の助言もあり、以前実施した入院中の病棟の医療スタッフとの「産婦人科病棟での最良の看取りケア」の学習会を再度行うことを目標にしようとの事になった。患者側からの貴重な提案活動でもあり毎回当直明けや休みの看護師さんが10人以上参加し妻が準備した事例に基づいて3回程、行っていた。
今回は未使用の事例に加え新たに作成したものを私が添削する事になった。
前年に協会に加盟したばかりの私はケースライティングのノウハウも分からず修正作業も捗らなかったやさき、残念ながら妻は治療のかいもなく体調も戻らず、1ヶ月後に旅立って行きました。「間に合わなかったケース」である。
その後、遺言のような「ケース」の一編をケース集に掲載してもらいました。
企業研修の場だけではなく、ケースをもっと身近な生活の場で活用する一例として記しました。(了)
会員T