モチベーション
モチベーションとは、人が一定の方向や目標に向かって行動する際の原動力となる、「動機づけ」「やる気」のことです。人間の行動がいかにして始動し・方向づけられ・維持され・低められていくかを考えます。
ケース「苦手意識は誰にもある」(#123)のティーチング・ノートです。
料金:3,000円(税別)です。
※ティーチング・ノートは、研修を実施する際に必要なケースの分析や設問例などを記載したものです。作者の意図や狙い・背景なども書かれています。
開発第1課の滝田係長(33歳)は、仕事に関しては厳しい人だった。若手社員の田所はどうも苦手としているようだと、親しくする秋山は気付いた。「誰でも苦手とする人種はいる。きまじめに接しているとますます苦手になって、肝心の仕事までいやになってしまう。あんまり気にするな。係長はあれでいて結構いいところもあるから」と、自分の体験をもとに説得する秋山だった。
名古屋工場に着任した佐々木係長は、部下の組長3人から、前任者田村係長の悪口ばかりを聞かされた。調べると、工員は上役を批判し、役職者は部下の無能をなじる始末だった。そこで佐々木係長は、上役の水戸工作課長に相談したうえで、悪口とは逆にホメホメでいこうと決心した。工作課のホメホメ運動はすぐに工場内で評判になった。組合機関誌も「1回1点、100点で背広かスーツ、500点でヨーロッパ旅行」と取り上げた。ところが部下の3組長が崩れた。「子供だましだからできない」というのだった。佐々木係長は、「その子供だましを本気でやるんだ」というと、一番若い今泉組長までが、「うちの工場には伝統がありますから」という始末だった。
今年もまた6級昇格認定研修の時期が来た。検査係の青木係長は、今まで躊躇していたことを、今年は本気で実行しようとしていた。それは、定年間近の岩崎班長の後任人選である。しかし、候補になる5級の顔ぶれを見ると、みな向上意欲が薄く、不十分な点が多かった。中でも石田と宮崎の2名に対しては、仕事中心になってくれるよう説得したが、気持ちは変わる様子はなかった。
そこで係長は毎月定例の班長会議でそのことについて話し合ってみたが、なかなか良い提案は出なかった。中には発言しない班長もいたが、皆5級の人達をこのままにしてはおけないという思いは同じだった。しかし、気持ちを変える決め手はなく、重苦しい沈黙が流れた。