労務管理
労務管理とは、労使関係に関する施策や制度、ならびに賃金、賞与、手当て、労働時間、休日・休暇、福利厚生など労働条件に関する施策や制度のことです。「人」「モノ」「金」「情報」といった経営資源を事業に投入することによって、目標とする成果を生み出す“従業員の活動”について施策や制度について考えます。
あるメーカーの船橋工場に勤務する板垣係長は、ある事件への対処を求められた。板垣の係に所属する部下4人が、酒を飲んで問題を起こしたのである。直接暴力沙汰を起こした2人の部下の言い分は、当時酔っていたこともあって、それぞれ真っ向から食い違い、組合の分裂問題も背景に見え隠れする。板垣は勤労課へ処置を依頼したのだが、それはラインの問題だとして断られ、自分なりに処分を決めようと考えるのだが・・・。
三栄建設新潟支社の工務課長である私は、片腕である2人の社員のどちらを係長に昇格させるかの決断を迫られた。大卒の小松は技術に秀で、高卒の山村は公私にわたりそつなくこなす実務家だ。私は総合的に優れた山村を推薦した。しかし、支社長から伝えられた人事部からの最終決定は、私の決断とは逆だった。小松が選ばれたのだ。やがて小松が係長研修に出席している時、選に漏れた村山が転勤を希望してきた。
3月に入り、年1回部下の能力と可能性を見る「将来評価」の時期がきた。鶴見業務第3課長は、自分の課に「係長1名、係員2名、計3名」のA(上位)評価枠があることを知った。課長は自分の課では10人の定員のところを、2名減8名でやっているので、計3名のA評価を係員級で1名増やし、なんとか4名にしたいと考えた。そして人事課と交渉してほしいと業務部の総務をあずかる業務第1課の兼子課長に頼んだ。彼は軽く引き受けたが、この係員級の1名増と引き替えに、係長級を譲れという、まったく虫のいい話を出してきた。もちろん即座に断った。だがほどなくその背景には、係長歴8年で41歳になる業務1課の次席、長沢係長の課長昇任の含みがあることを知った。夕刻、海野業務部長も鶴見課長を呼んで、長沢係長をぜひAにしたいと言った。それでも鶴見課長は、海野部長と兼子課長に食い下がった。
名声電気㈱武蔵工場の藤田組長に、ある日、「工場の何人かが内職で稼いでいる」という話が飛び込んでくる。その噂の主は村上工長だった。事実確認をする藤田組長に対して、村上工長は「家庭の事情」を打ち明けるのだった。現在の仕事量は残業なしでは回りそうもないから、このまま彼の行動を黙認すると職場の統制が取れなくなる。就業規則は副業を禁止しているから、無視するわけにもいかない。藤田自身、内職をする村上の気持ちに共感する部分もあったが、何等かの決断をしないわけにはいかなかった。
清涼飲料会社の工場長の私は、安全管理には注意してきた。しかし6月中旬のある日、発送ケースの中のビン1本が破裂し、係の1人が右足に怪我をした。実は同じような事故が5月にも起きていた。その結果、職場代議員で現場にいた森口運転手が中心になって、工場内に早退運動が起こった。本社の労務管理責任者は、工場長に森口の懲戒解雇を求めてきた。