人材育成
人材育成は、適切な人材活用によって可能になります。組織の維持発展に不可欠な活動です。管理職の部下に対する指導・育成、個性を重視した能力開発、集団の活性化は如何にあるべきかを考えます。
ケース「人材育成はどちらにも問題が…」(#0411)のティーチング・ノートです。
料金:3,000円(税別)です。
※ティーチング・ノートは、研修を実施する際に必要なケースの分析や設問例などを記載したものです。作者の意図や狙い・背景なども書かれています。
鉄鋼部に所属している商社マンの小島は、彼本来の性格から杜撰な仕事も目立った。前任の室長時代は、ミスはあってもそれほど大きな問題が起こらなかったのだが、1年前に室長が代わってから、次々に問題が起こった。小島は自分のミスから大量の不良在庫を抱え、それをごまかそうとして、あれこれ画策しているうちに、ますます傷口が大きくなってしまった。うすうす気付いていた新任の室長は放任主義で、何の注意も与えなかった。小島は結局会社を去っていったが、その後、前任室長時代の表面化していなかった違算なども発覚し、今回の件も合わせると多大な損害を会社に与える結果になった。大垣部長は、マネジメントの欠陥が招く結末を痛いほど感じるのだった。
取締役企画部長の足立は、独特の人材観をもっており、一癖あるハミ出し人材を活用した。人事部長は、足立と同期の下田だった。厳しい経営環境から、会社は中期経営計画の見直しを開始した。両部長は協力して、中高年ホワイトカラーの削減や女性総合職の登用などの計画推進に奔走した。そして、足立企画部長は、下田人事部長に対し、更に未利用人材を企画部へ回すよう要求した。しかし、人員削減により、もはや未利用人材はいなくなった。全社的に、有能な人材が払底しており、問題が顕在化していた。それでも足立部長にしつこく人材を要求された下田は、やむなく経営コンサルタントを訪ねた。
神奈川製作所では、大幅な人員の合理化を進めてきていた。営業管理部でも、そのしわ寄せが一人当たりの負荷増という形でのしかかっていた。収益管理課の荒木主任も例外ではなかった。荒木は、会社の少数精鋭路線に勝ち残るために、自分だけの専門知識を身につけようと考え、そのための研修を受けようとしていた。しかし、問題が発生してしまい、今回もベテランである荒木が中心になって対応策を考えざるを得なくなった。そのため、申し込んだ研修を受けることができなかった。総務部の秋田と食堂で会ったとき、「営業は研修キャンセルの常習犯だから、案内を止めるか、参加枠を減らす、と研修課の担当者が言っていたよ」と言うのを聞き、荒木は「冗談じゃないよ、まったく…」とつぶやいた。
南神銀行計算課の上村係長は、部下の女性行員のことで悩んでいた。スーパバイザーを兼務するベテランなのだが、ある時期を機に、この女性行員の仕事ぶりにミスが多くなり、能率も以前の半分程度に落ちてしまったのだ。同僚の女性行員の話ではどうやらプライベートな問題が大きいようだった。折しも計算課は体制の刷新と、新しい管理システムの導入を控えていた。上村係長はミスの多い彼女の配置換えを管理職会議に提案するのだが、管理職達の反応は意外なものであった。