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労働基準監督署の山本は、国家政策の一端を担う使命感で張り切っていた。不適正な労働条件で働いている非正規労働者を正社員へ転換させ、雇用の安定に繋げようと行動を開始した。企業を訪問し経営者を説得し目的を達成しようとした。違法状態を指摘し圧力をかければ、意に沿わせることができるとする役人の性ともいうべき行動様式であった。しかし企業経営者・管理者はしたたかであった。工場の海外移転や契約社員の解雇を仄めかした。さらには「役所の強い行政指導により、やむなく講じた措置である」と自らの行動を弁明し、世論の糾弾をかわすために利用しようとさえした。山本はこんな海千山千の連中とどう付き合って行けば良いのか苦慮している。