テーマ : メンタルヘルス
千葉工場メンテナンス・サービス課長笹野は、部下である課長補佐大山の突然の自殺に驚き、取るものも取り敢えず大山家を弔問した。夫人によると、大山の自殺は笹野を中心とする職場ぐるみの「いじめ」を苦にしたものだという。笹野に思い当たるフシはまったく無かった。彼自身、部下であっても年長者である大山へは、気を使って優しく接していたつもりであった。大山の同僚の村上、吉田の両課長補佐ともに優しい穏健な人柄で、「いじめ」とは縁遠い人物である。夫人の発言は正に青天の霹靂であった。葬儀の席でも夫人は、「社長は何故来ない」と非難を繰り返した。連絡を受けた本社の人事課長の神谷は、人事部長の佐藤専務の同行を仰ぎ、大山家を弔問した。夫人は、相変わらず「いじめ」を持ち出し、笹野の懲戒と補償を要求。工場で関係者が集まりこの事件を総括したが、人事の見解は「うつ病による自殺」と明確であった。しかし「訴訟に持ち込まれれば、負ける可能性は少ないが厄介であるので、工場で神谷課長と相談し、善後策を講じ遺族の納得を得るように」との専務の指示があった。笹野は「お咎め無し」となりホットしたものの、今後の対応につき困惑するばかりであった。