テーマ : 労務管理
3月に入り、年1回部下の能力と可能性を見る「将来評価」の時期がきた。鶴見業務第3課長は、自分の課に「係長1名、係員2名、計3名」のA(上位)評価枠があることを知った。課長は自分の課では10人の定員のところを、2名減8名でやっているので、計3名のA評価を係員級で1名増やし、なんとか4名にしたいと考えた。そして人事課と交渉してほしいと業務部の総務をあずかる業務第1課の兼子課長に頼んだ。彼は軽く引き受けたが、この係員級の1名増と引き替えに、係長級を譲れという、まったく虫のいい話を出してきた。もちろん即座に断った。だがほどなくその背景には、係長歴8年で41歳になる業務1課の次席、長沢係長の課長昇任の含みがあることを知った。夕刻、海野業務部長も鶴見課長を呼んで、長沢係長をぜひAにしたいと言った。それでも鶴見課長は、海野部長と兼子課長に食い下がった。