テーマ : コンプライアンス
双葉産業の小磯社長は、匿名の速達を受け取った。3日前に結んだライバル企業八島製作所との合併合意書の、極秘コピーではないか。しかも組合の谷村委員長も同じものを受け取っていた。それは山田技術部長のコピーから複写されたものだったが、速達の切手から部下の水垣(25)の名が浮かんだ。部長はすぐさま進退伺を出した。しかし真犯人は同じ部の鈴村(24)だった。その鈴村の昇給停止に同情した水垣が、山田部長を困らせようという単純な動機からのことだった。その後の措置については、社内の意見は紛糾した。ついに山田部長は、「君の部が火元だから、火消しも君がやれ」と社長の厳命を受けた。